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くしびばこ

寺生まれのTさん

2012-08-07 (Tue) 00:28
出典元:
寺生まれのTさんとは

http://p.tl/6LIP


「夜釣り」

俺は夜釣りに出かけた。
ある日、遊びの予定がキャンセルになった俺は秘密の釣り場で夜釣りを楽しむ事にした。

街から少し離れた所にある橋で、静かでよくつれる俺の穴場。
その日も良く釣れ、しばらくした頃、全身に寒気が。
何か恐いな・・・そう思いつつも入れ食い状態のその場を離れる気にもならず夜釣りを楽しんだ。

「あなたも釣りですか?」
後ろから声をかけられた、振り返るとそこにはサラリーマン風の中年男性が。

「えぇ、ここよく釣れるんです」
「えぇそうらしいですね」
「あなたも釣りですか?」
「・・・まぁそうですね」
話していくうちに段々と俺は違和感を感じた。
男性はどう見てもスーツ姿、とても釣りを楽しむ格好じゃない、こんな所でなにを・・・

↓↓↓↓↓↓

「あなた、つらないんですか・・・」
男性の声・・・
いやおかしい、明らかに上から聞こえてきた。
「つりましょうよ、あなたも・・・」
俺は恐怖に震えながらも上を見上げた・・・

そこには、今話をしていた男性の首吊り死体が!!
男が言っていたのは「釣り」ではなく「吊り」だったのだ!!
気が付くと俺の目の前には無数の人影が。
「吊ろう・・・一緒に吊ろう・・・」と俺に囁いている。


「そこまでだ」
聞いたことのある声、寺生まれで霊感の強いTさんだ。

影によって今にも吊り上げられそうな俺の前に来ると、自前の釣竿を振り回し、
「破ぁ!!」と叫ぶ、すると釣竿の糸が眩く光り、振り回した糸が剣のように次々と影を引き裂いてゆく!

ある程度影を振り払うと、Tさんの呪文によって周りには光が走り、アッー!と言う間に影は全滅した。

「Tさんも夜釣りですか?」
そう尋ねるとTさんは俺を指差し
「まあな、随分と小物を釣り上げちまったがな・・・」

帰り道で聞いた話によるとあそこは自殺の名所で首吊りが首吊りを呼ぶ恐怖の橋らしい。
「すっかり日も上がっちまったな、どれ、街で女の子でも釣りに行くか」
そう言って車に飛び乗り爽やかに笑ってみせるTさんを見て、
寺生まれはスゴイ、俺はいろんな意味で思った。





「悪夢」

俺は久々に嫌な夢を見た。
ノコギリを持った男が俺の部屋に立っている・・・
俺は恐怖のあまり動くことが出来ず、ただその男を眺めている。
すると男は突然ノコギリで家の柱を切り出した!
思わず「やめろ!!」と叫ぶ俺。

するとゆっくりこちらを振り返る男。
その顔は、見るも無残に潰されて顔中に釘が打ち付けてある。
「お前もこうなりたいのか?お前もこうなりたいのか?
してやろうか?してやろうか?」

ゆっくり俺に近づく男・・・俺は金縛りにあったように動けず、そして・・・
男のノコギリが俺の顔に・・・

そこで目が覚めた。

嫌な夢だ、後味が悪い・・・俺は水を飲もうと立ち上がった。
俺の目に飛び込んできたのは、無残にも傷つけられた家の柱!
俺は恐怖で腰を抜かしてしまった、あの男は現実に!!
そして次はホントに俺の顔が刻まれてしまうのではないかと。


その日のバイトで、俺は寺生まれで霊感の強いTさんにその夢を相談してみた。
しかし、Tさんは「しょせん夢だろ?」と冷たい対応。
なんとしても引き下がれないので必死に何とかしてください!と頼み込むと、
「それじゃあ俺の作ったお守りやるからそれを枕元に置いて寝ろ、
そうすりゃ大丈夫だ」
とお守りを渡してくれた。

次の日、不安ながらも朝の早かった俺は床に付いた、そこでまた夢を見た。
「つづき、つづき、つづき!つづき!つづき!つづき!」
またあの男だ!!俺は夢の中でTさんのお守りを探した。
しかしどこにも見当たらない・・・
「これ?これ?これ?」
なんとお守りを男が持っている!もうおしまいだ!!

だが次の瞬間、お守りが眩い光に包まれ、どこからとも無くTさんの声が。
「破ぁ!!」
お守りは光と共に飛び散り、男の半身を吹き飛ばした。

「あああああああああ」
半身でのたうつ男を尻目に俺は夢から目覚めた。
枕元にあったはずのお守りはどこをどんなに探しても見つからなかった・・・


その話をTさんに話すと
「半身を吹き飛ばした?
やれやれ、威力は親父の作った奴の半分か・・・」
と呟くTさん。
寺生まれはスゴイ、俺は感動を覚えずにはいられなかった。





「赤いワンピースの女」

俺は原付に乗って買い物に出かけた。
普段どうり国道を走っていると、
真っ赤なワンピースを着た綺麗な女性が眼に映った。
お、綺麗な人だな、そう思った瞬間、
俺は対向車線から来たトラックに撥ねられた。
柔道を習っていた俺はとっさの瞬間受身をとる事ができたため
両足を骨折する重傷ですんだ。

それから半年たったある日友人のKが同じくトラックに撥ねられた。
直ぐに病院に駆けつけたが、Kに意識は無くその後死亡した。
その場で救助に当たった人の話によるとKは
「赤いワンピースを見てついよそ見しちまった・・・」
と呟いていたという。
俺は驚いた。

アレは死神なんじゃないか?
俺がそう思っている頃またあそこで事故があった。
話を聞いてみるとひき逃げらしかった。
この辺りは見通しがいいにもかかわらずそういう事故が多いらしい。
俺はあの赤いワンピースの女が死神だと確信した。


数日後俺はバイトの先輩Tさんの車に乗ってその道を走っていた。
Tさんは実家が寺で非常に霊感が強いらしく、俺は死神の話をしてみた。
「ふーん」っと素っ気なく聞いていたTさん。
だが少し走ってからTさんが突然、
「あの女か!」と叫んだ。

見ると確かにあの赤いワンピースを着た女が道を歩いている!!
「そうです!あの女です!!」
俺が叫ぶと、
「そうじゃない!あっち事だ!!」
と正面を指すT先輩。

見ると顔の抉れた女が対向車線を走るトラックの方向を狂わそうと、
車体飛び移っている所だった!
「ハンドル頼んだぜ・・・」
Tさんはそう呟くと車の窓から上半身を外に出し、狙いを定め
「破ぁーーーーー!!」と叫んだ。
するとTさんの両手から青白い光弾が飛びだし、女の霊を吹き飛ばした。
「これで安心だな・・・」
そう呟いて片手でタバコに火をつけるTさん。
寺生まれってスゲェ・・・その時初めてそう思った。





「初めての彼女」

俺にもやっと彼女が出来た。
彼女は色白で背も低く病弱で、学校でもよく虐められていたそうだ。
俺はそんな彼女の事を守ってあげたいと思い、告白し、付き合うことになった。

付き合いだしてから1ヶ月後、彼女が初めて家に止まりに来た。
だが童貞で奥手な俺は彼女にキスすることすら出来ず、
酒を飲むとそのままソファーで眠ってしまった。

夜中に妙な音がしたので目が覚めた。
誰かがブツブツ何か言ってる・・・
俺は彼女が電話しているのかと隣の部屋を覗き込んだ。

するとそこには恐ろしい顔をした彼女が。
「おうち、おうち、あたらしいおうち」
と呟きながら、
自分の髪の毛を壁とタンスの隙間や戸棚の下に押し込んでいる姿だった。
俺はあまりの恐怖に言葉を出すことも出来ずそのまま朝を迎えた。

何事も無かったかの様に眠る彼女・・・俺はどうしていいのか分からず。

寺生まれで霊感の強い先輩のTさんに電話をし、ワケを話した。
黙って俺の話を聞いたTさんは
「よし、待ってろ、すぐ行く」
と言ってくれた。

俺は彼女に気付かれないようにこっそりTさんを上げると、
彼女を見たTさんは
「これは・・・」
と呟き
「俺の後ろに下がってろ、絶対に前に来るな・・・」
と言い彼女の前に立った。
Tさんは何か呪文のようなものを唱え「破ぁ!!」と叫んだ。

すると部屋中に仕組まれていたであろう髪の毛がいっせいに燃え上がり
彼女の髪の毛までもが燃え上がった!!

「姿を見せな・・・」
Tさんがそういうと長かった彼女の髪の毛がバサリと抜け落ち、女の生首になった!
「こんな女の子に取り付いて、自分の結界を広げて他のかい、この小悪党め!!」
生首をガシリと掴むTさん。
次の瞬間生首は断末魔をあげながら燃え上がり、灰になって消えた。

しゃがみ込んだTさんは無残に抜け降ちた彼女の髪の毛に触れると
「お前たち、元の場所に帰りな・・・」
と優しく呟き、
フワフワと浮かび上がった髪の毛は彼女の頭に生え移り、元通りになった。

「二人に『カミ』のご加護がありますように」
Tさんは笑いながらそう言って帰っていった。
寺生まれってスゴイ、改めてそう思った。





「飼い犬」

俺は彼女から深刻な相談をされた。

最近、自宅の老いた犬が、
誰もいない玄関に向かってけたたましく吠えるというのだ。

俺が彼女の家に挨拶に行った時も、
俺を見ても全く吠えなかった人なつっこいあの犬が
突然ものすごい剣幕で吠えるのだという、しかも時間を問わず。

不安がる彼女が霊を引き寄せやすい体質だったことを思い出し、
俺は寺生まれで霊感の強いTさんに相談する事をすすめた。

ファミレスで3人で食事をしながら事の話をするとTさんは、
「大丈夫、その犬は帰ってきた先祖に挨拶してるんだよ、
この時期だし」
とのこと。
すっかり安心した彼女を送り返すと、Tさんから連絡が・・・
「彼女の言っていた事だが、確認したい事がある。
あの子の家の前まで案内してくれ」

深夜2時、彼女の家の前に行くと、
確かに駐車場に繋がれた犬が吠えている。
「やはりな・・・」
そう呟いてTさんは彼女の家の向かいにある電柱に手を添えた。
するとそこからスッと青白い光が走り、
幾つもの亡者が彼女の家を通り抜けようとしているのが見える。
しかし犬の抵抗に遭い、上手く通り抜けられない模様。

「大した犬だ・・・ずっと家を守っていたのかい」
そういいながら犬の頭を撫でるTさん。
「破っ」
Tさんの声と共に道は家を避け天に伸び、
虹のように遠くの空に伸びていった・・・

「何故彼女に嘘をついたんですか?」
の問いに
「他人の女とはいえ、
可愛い子を無駄に恐がらせるのは男の仕事じゃないぜ・・・」

寺生まれはスゴイ、俺は久しぶりにそう思った。

・・・数日後、彼女の家の犬が老衰で亡くなったと聞いた。
悲しみにくれる彼女を励ましてやると
「ワン!」
と元気なあの犬の声が聞こえた気がした。
きっと犬はまだ家族を守っているんだな・・・
線香をあげながら俺は思った。

家族を見守る犬はスゴイ、俺はその夜ちょっと泣いた。





「四隅」

ある雪山で猛吹雪の中、4人が遭難した。

このままでは確実に死ぬ・・・そう皆が考えていた先、山小屋が見付かる。
息も絶え絶えに小屋になだれ込む4人。

しかし、その山小屋には暖房施設がなく、あるのは非常用の食糧のみ。
寝れば確実に凍え死ぬ。ひとまず朝になれば・・・

そこでリーダーがゲームを提案する。
「4人全員が小屋の四隅に座り、5分毎に東回りに歩いて、人を起こして回ろう。
起こされた人は起こした人と交替して次の角に向かう」


翌朝、救助隊が山小屋を発見。
疲弊した4人に笑顔が浮かぶ。

救助隊「よく全員ご無事で」
リーダー「いや、駄目かと思いましたが~~~のようなゲームをしまして…」
少し間を置いて救助隊が答える。

救助隊「そのゲーム、できっこないですよ」

「ふ破ぁーあ」
大きなアクビをしながら寺生まれのTさんが小屋の外から戻ってきた。
「よ、昨日はどうもな」
どうやら小屋にいたもう一人は寺生まれのTさんだったらしい。
「なんだよ、気づいてなかったのかよ・・・・・・」
ろくに挨拶もせず溶け込めるTさんは凄い。改めてそう思った。





噂によると「くねくね」も調伏したらしい。
寺生まれはスゴイ、改めてそう思った。

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